はじめまして。中高教員3年目の者です。根岸先生のご著者やTwitterでいつも勉強させていただいております。 生徒の作文課題のフィードバックについてご意見をうかがいたく存じます。 現在の勤務先の学校では、教科の方針で「書くこと」を重視し、週1回ぐらいのペースで生徒にテーマを与えて作文させています。活動自体は意義があると思っているのですが、書かせたものをどのようにフィードバックすればいいか思案しております。本来であればすべてコメントを入れて返却するのが筋だと思うのですが、部活の顧問や校務などの合間に毎週200枚以上の作文をすべて読み通すだけでも一苦労で、ひどい時には検印を押すだけで返却ということもあります。 むろん教師の本分は授業であり、言い訳をしてはいけないことは重々承知しているのですが、現状手が回っていないのは事実であり、主任からは「とにかく書かせることが大事だから」と言われ、具体的なアドバイスをもらえない状況です。ただ書かせるだけになってしまっている現状を何とかしたいと悩んでおります。 効果的かつ効率的なフィードバックや授業での活用法について、何か先生のご経験からのアドバイスをいただけたらうれしいです。よろしくお願いします。 どうぞ体調にはお気をつけくださいませ。
こちらの記事の最後にこう書きました。
次回は根岸の添削スキルのご紹介です。お楽しみに。
その後、次回を書いておりませんでした……(´・_・`)
11か月ぶりの第2回、根岸の添削スキルをご紹介します。といっても添削そのもののスキルではありません。
「課題設定スキル」とでも言うべきものをご紹介しますね。
どのように課題を設定するかで添削も異なる
慶應義塾大学の小論文を例にお話しします。
設問A.下線(イ)について、自然科学と哲学・文学との違いがなぜ起こるのか、課題文に即してその理由を200字以内で説明しなさい。 設問B.社会学者が下線(ア)のような読書傾向を有する理由について考え、説明しなさい。そのうえで、仮にあなたが社会学者で、歴史上や現代の出来事を研究対象とする場合、どのような問いを、どのように立て、どのように検証していくあるいは探っていくと考えられますか。具体的な問いを一つ挙げながら、課題文に即してあなたの考えを400字以内で記しなさい。 (2024年度慶應義塾大学経済学部)
設問Ⅰ この文章を300字以上360字以内で要約しなさい。 設問Ⅱ 競争について、この文章をふまえて、あなたの考えを320字以上400字以内で述べなさい。 (2024年度慶應義塾大学文学部)
慶應の経済学部と文学部、どちらも課題文型の小論文です。しかし、出題はこのように異なります。
さて、先生がこの問題を採点するとしましょう。第一印象で結構です。どちらの方が「うわ、添削面倒だな……」と思いますか?
「経済学部の設問Bは問題文が長くて複雑そう……文学部はあっさりしているので採点しやすいかな」と思った先生、いらっしゃいます?
それ、間違いですよ。経済学部の方が圧倒的に採点しやすいんです。
なぜか?