早いもので、前回の作問勉強会から2ヶ月が経ちました。今回の素材文となった小説は書かれた時代も、舞台も過去。当然現代語ではありません。レギュレーション(共通の作問条件)があり、お忙しい中悪戦苦闘して作問を持ち寄りました。みなさんの努力に応えるべく、勉強会はいろいろアップデート。参加者のみなさんも自他ともに成長を感じているご様子でした。
ニュースレターでは三本立ての特集を組んで、参加できなかった方にも作問技術が伝わるように、勉強会の内容の一部をお届けします。
今回の記事では、講演会の内容について!
今回の作問勉強会の素材文選定の理由とは
今回も扱う素材文はかなり悩みました。最初にこれにしようと考えていた短編小説は総文字数14,000字。そこから5,000字程度を抜粋してもらう予定でした。せっかく一部抜粋するなら、抜粋箇所も決めてもらおうと考えていたのです。でも、もっとおもしろい素材文を見つけました。薄田泣菫「利休と遠州」の全文です。
素材文の選定理由としては、まずは青空文庫で入手できること。手軽じゃないですか。そしてもう一つ。それは、作問しやすいドラマチックな展開があること。当初の短編が没になった理由は、ここに引っかかったからです。過去と現在を淡々と描写しており、問題を作りづらいと判断しました。
さて、作問しやすいドラマチックな展開とは何かというと……
- 主要人物の心情の変化ときっかけが明快
- 登場人物にも読者にもディレンマとカタルシスがある(心に大きな印象を与える)
- 比喩的表現(象徴表現・情景描写)の多用
- 文体・視点の移り変わり(常体/敬体、会話中心/語り手/主人公の独白、一人称 / 三人称)
……があることです。
授業とテストと評価は一体
授業→テスト→評価を一気通貫で設計する。当たり前ですし、当たり前でありたいのですが、忙殺する毎日を送る先生方、特に若手の先生方にはこの視点が欠けてしまうことがあります。
勉強会に参加いただいた方から「以前に比べて授業とテストにつながりを感じるようになった」というお声をいただきました。あくまでここは作問勉強会ですから作問技術の向上を目指しますが、授業とテストと評価のつながりについて考えられるように、という視点をもって討議したいですね。
また、次のような疑問を持ちながら作問できるといいのではないでしょうか。
- 1~2問で50分の授業をつくれるか?
- 華問を使って単元を設計できるか?
作問の指標
勉強会に参加した某大物予備校講師の名言をここでご紹介します。