メイジャーステップ根岸です。Twitter:@DiceK_Negishi
#現代文作問勉強会202305 が終わりました。参加者の皆様、誠にありがとうございました。
今回も愉快で充実した討議を行えましたね。これまでの #現代文作問勉強会 シリーズの中で最も充実した議論ができたように思います(※個人の感想です)。
参加者の皆さんが #現代文作問勉強会202305で ツイートしています。様子がよく伝わってきます。ぜひ #現代文作問勉強会202305 で検索してください!
今回の #現代文作問勉強会202305 は二日に分けて行いました。時間帯も変えて、今まで参加できなかった方もご参加いただけるよう配慮しての開催です。
いろいろ模索してきましたが、今回の建付けが現時点でのベストのように思いました。#現代文作問勉強会 シリーズはこれからも開催します。ぜひご参加いただき、会の運営へのご意見をお聞かせください。
根岸の作問のプロセスを解説するところから始まった #現代文作問勉強会202305 の様子を、全三回に渡ってニュースレター会員のみなさんにお伝えします。
前回記事では、根岸の作問の様子をリアルタイムで観察する試み、「#現代文作問ライブ202306」のご案内をお知らせしました。
申し込み開始わずか数分でドカドカドカっと参加表明。そこから続々と参加者が増えていまして、5/23 16:00現在で、なんと28名のお申し込みがありました!!! お前らそんなに見たいんかーい!!!
今回は定員を設けていません。ニュースレター会員は無料でご案内します。興味のある方は遠慮なくお申し込みください。ウェビナーでの開催が必要になるくらいたくさんの方に来ていただきたいと思っています。
今号では根岸がどのように作問しているかをお伝えします。
根岸の作問プロセス
問題の討議の前に、根岸が今回の素材文(池内了『科学と人間の不協和音』)をどのように読んだのか、どのように問題を作り上げていったのかを時系列で説明しました。
初読の段階で、ある程度の問題の“アタリ”をつけながら読んでいるのだとわかります。
根岸の作問プロセスを見て、どこから手を付けていいか分からないときは次のようなことを考えて文章を読むとよいんだなと私は感じました。
- 文章のキーワードをチェックして、関係をつかみながら読む
- 現代文でおさえておくべきテーマ(今回は「資本主義」でした)がどのような文脈で出てくるのかを確かめる
- 瞬殺できてしまう問題は避け、いくつかの内容を組み合わせることを前提に文章を読み進める
ざっくりと解答範囲を決め、問いを作りながら解答を絞り込むのが根岸流。このあたりは #現代文作問ライブ202306 で見ていただければ具体的にわかると思います。
問いがついたら実際に答えを書いてみます。そうすることで難易度調整の方針が見えてきます。
- 枝問をつけてステップを踏むのはやめよう(難しくする)
- 条件をつけて誘導すしよう、記述ではなくて説明文の抜き出し当てはめにしよう(易しくする)
- 他の問題との重複を調整しよう(重なりが多く全体の流れがはっきりする作問にすると……易しくなることもあれば難しくなることもあります)
1問にあまり時間をかけずにざっくり作って、後で比較検討して難易度調整を行う方がバランスのよい問題になるようです。
プロセスを見ると、あちこち保留にしながら、飛ばし飛ばしで問題を作っています。
各問題の相互性を高められるように形式を変更したり、抜き出させたいキーワードが浮き彫りになるように調整・修正してたりしていることがわかります。
「寝かせる」(作ったものを数日置いてから見直す)のも大事です。行き詰まったらさっさと次に行った方がよいようですね。何度も読んだり作問したりする過程で段落相互の関係が見えて問題に発展したり、悩んでいるうちに新たな発想が出てきたりします。
でも、作るスピード自体はとても速いのでびっくりしました。3時間でそこまで進むのか……って。さすがプロですね。
もう一つ、根岸の作問で印象的なことがありました。枝問を作って傍線部の説明と理由をわけて答えさせるように設計していたのです。たとえばこんなふうに。
問6 傍線部C「科学者の社会的責任」について、次の1,2の問いに答えよ。
- 「科学者の社会的責任」とはどのようなものか。40字以上50字以内で説明せよ。
- 現代社会で「科学者の社会的責任」が求められるのはなぜか。40字以上50字以内で説明せよ。
枝問でステップを踏んで考えさせることで、「科学者の社会的責任」というキーワードについて理解を深める仕掛けを考えるのだそうです(今回は没になったのですが)。
こういう作り方が根岸の「手癖」なんです。悪い意味ではなくて、ついやってしまうこと、という意味です。問題を作るときによくやるパターンってあるんですよね。それが根岸にとっては「難度が高そうなら説明→理由」の順で問うことなのだそうです。
根岸の手癖、生徒の心理
「手癖」といえば、#現代文作問勉強会 シリーズで根岸は毎回十択問題を一問用意します。しかも正答はアに置くことがほとんどです。「迷ったら③を選べ!』」、なんてかつてのセンター試験対策では言われたものですが、今でも選択問題の答えがわからないと生徒は真ん中あたりを選びがちですよね。作問者も「問題を最後まで読んで比較して考えてほしい」という「学びさせたい欲」を持っています。だからこそ(ア)に正答を置くってとても勇気がいりますよね!
(根岸注:十択で正答をアに置くのは、参加者に誤答パターンを見ていただくときに冒頭で正解を示した方がストレスがかからないからです。アが見た瞬間バレバレの正解であることがわかれば、イから誤答分析に集中できると思うんですよ。それを参加者が勝手に深読みして……)
他の選択肢と比較検討しないと正答に辿り着けないように工夫をしている参加者もいらっしゃいました。
- 「A(○)なのでB(○)である」「A(○)なのでC(×)である」のように、○と×が混在するようにする
- 選択肢の末尾だけ変えてみる
- 手続きの順序をひっくり返す
など仕掛けがたくさんあります。
根岸は問2で、正解「事実と意見」に対して「具体と抽象」という誤答肢を置きました。生徒がよく目にする言葉を入れて、聞き馴染みのある言葉でちょっと難しいとすぐに飛びついてしまう生徒心理をついてみました。
アフタートークと次回の勉強会
アフタートークでも作問プロセスについて言及がありました。他の方がどうやって作問しているのか気になっていて、前々から要望を出してくださっていた先生がいたので、今回、根岸の作問プロセスを解説する時間を取るに至ったのです。
根岸の作問プロセスを聞いて、その先生は「僕とは作問プロセスが違う、僕は初読で大体の問題ができている」とのこと。やっぱりスタイルって全然違いますね。その先生からまた熱いお声が。
「Word上で考えている様子を見たいんです。作っているときにどんなことを考えているのか、作ったり訂正したり消したり、心の声も含めて全部見たいんです。」
つまり、もっとライブ感が欲しいと。
ならば、その声に応えましょう。やります。やりましょう! 声をカタチに、夢をカタチに! がモットーです!(勝手に言いました。怒られます。すみません)
今号の記事が「文字で読んでもよく分からん!」という方は、ぜひお申し込みください。
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