こんばんは、中の人(@mAjorstep_jp)です。すでに今年も上半期が終了しようとしています。夏休み前の成績処理に向けて、テストづくりを開始した方も多いのではないでしょうか。塾講師と学校教員で「夏休み」の捉え方が異なりますが、節目がもうすぐそこ!というのは間違いないですね!
さて、今回は前回&前々回の記事の続きです。まだお読みでない方はこちら。
少々、というかかなり長くなります。出てきた参考書がお手元にあれば、ご覧になりながらお読みください。
語彙力強化参考書その1:MD現代文/小論文
以下、根岸→(ね)、相澤先生→(あ)と表記します。
(ね):さて、ここまで語彙力が早い段階で形成されている、というお話をしてきました。相澤先生は、今までの語彙学習の抜け落ちをカバーできる参考書を開発されています。
ある程度力のある生徒たちが大学受験を乗り越えるためのキーワード集はたくさんあります。そのなかで、いくつかピックアップして相澤先生とあれこれ話したいと思います。
(あ):最初は…どれにしましょう。まずはMDからいきましょうか。
(ね):うちの書棚から発掘されたんですよ。みなさんご存知ですか? 私が大学生の段階でもう3刷とかだった気が……。
(実際の初版は1998年9月、根岸はすでに塾で働いていました)
(ね):これ、本当に勉強になるんだよねえ。
(あ):編著者の有坂誠人先生、若い先生はご存知なんですかねえ……いまどうされているんでしょうか。存じ上げませんけども……わっ、大澤真幸先生の名前も!
(MD現代文/小論文の編著者:有坂誠人(代々木ゼミナール講師)伊藤博和(駿台予備学校講師/市進予備校講師)大澤真幸(京都大学助教授)亀井和子(河合塾講師)田中公一朗(早稲田塾講師/東進ハイスクール講師)辻本浩三(代々木ゼミナール講師))
(ね):有坂先生といえば『例の方法』ですね。
(あ):『例の方法』は今読み返すとすごいんですよ。僕はずっと作問をしてきたので、選択肢の仕掛けとか、問題の仕掛けが分かるようになってから読み返してみると、ものすごく当たっているんですよ。
それを受験生に教えることが良いことかは分かりませんが、「例の方法」は正しいんです。
(ね):現代文の解法としてはわからないけれど、作問者の立場からしてみると……ってことですね。
(あ):早稲田の法学部なんか、非常に難しい文章ですけど、選択肢を見てみると主述さえ見えれば解けてしまうという。早稲田の先生が意識してああしているのか、無意識で作問しているかは気になるところですが。
(ひとしきり早稲田の国語談義)
(あ):MDがこんなに分厚いのはなぜかというと、ただの語彙だけでなくて、現代文のテーマについて論じているからですね。だって最初のテーマ「もう一つの自由」ですよ。サルトルの話です。
(ね):次は亀井先生の「現代文講義」ですね。出た!加藤周一!センター試験!(1991年度の追試験で出題されていますが、本書に引用されているのは明治大学政治経済学部の過去問でした)
(あ):(冒頭の一節を読み上げ)現代文を教えていてこのフレーズを知らないのは問題ですね。
(ね):対比の導入にはもってこいですもんね。
(MDを読みながら、掲載されている文章が、「論理国語」や「現代の国語」に掲載されていることを見て盛り上がる)
(ね):これは、大学受験向けの辞書なんですよ。
(あ):あっ、これすごい。1998年に出ているのに「ジェンダー」についてちゃんと語っているんですよ。
(ね):ほんとだ。すでに性同一性障害についても触れていますね。そのほかにも「自我」だけでも、こんなに説明しているんですよ!
(あ):これはすごい……
(ね):小論文という科目でいろんな知識事項を身につけなければなりませんが、小論文向けのキーワード集のはしりがおそらくこれなんですよね。それまではたぶん『現代用語の基礎知識』とか『知恵蔵』とか『imidas』のような本を読んでたんだろうと思います。
MDは絶版なので古書店を探してくださいね。
語彙力強化参考書その2:ワークで覚える小論文頻出テーマ ジャンル別キーワード90
(ね):MDもとてもいいんですが、本当に分厚いので、全部網羅するのはとてもしんどいですよね。そこで小論文キーワード集が出てくるようになります。
MDの代わりになるキーワード集はこちらでしょうか。定番です。
厚さはMDの半分以下。洗練されたと言うべきか、知識レベルが下がっていると言うべきか……。
(あ):学部学科で細分化されているということも関係がありますよね。看護・医療系学部を目指す人にMDは不要ですし。
(ね):たしかに、MDの一部分だけで十分事足りますね。
(あ):本来なら、本を読んで身につけていけば良いんですが、なかなかそのような時間はないですよね。
(ね):それでも、私たちは「本を読もうね」と言い続けなければならないと思うんです。「読みましょう」、と言っていますが、じゃあどんな本を読んだらいいのか。