メイジャーステップ根岸です。
学校推薦型選抜の出願が近づいています。そんな時期だからこそ、「志望理由書」の書き方指導についてお話ししようと思いました。
今回のニュースレターは、根岸が高校の講演会で話している内容をスタッフ萩原に説明して、萩原のメモをもとに書き起こした文章です。根岸が萩原にどんな感じで話しているのか、萩原がそれをどう受け取っているのか。メイジャーステップの雰囲気がなんとなく伝わるといいなあと思いながら書くことにします。
私たちは国語の先生ですから、文章を書くのはそれなりに得意だと思っていますよね。けれど、いざ指導する側となると頭を抱えてしまうことも多いものです。作文に苦手意識を持った生徒たちの心は頑なでしょう? そりゃそうですよ、生徒たちのこれまでを考えれば同情するしかない。文章を書いて自分の考えや生活を表すことなんて、国語の授業で一年に一度なんてことも。「一年前のことなんて覚えてられっか! それなのにまた新しい「作文」!? めんどくせー!」……生徒たちの心情を代弁するとこんなところでしょうか。
だから私たちは、生徒にとって書きやすい、考えやすい、自分の棚卸しをしやすいフレームワークを考える必要が出てくるわけですよ。今回はそういうお話です。
志望理由書の本質、「扇の要」とは?
そもそも志望理由書とは何か。根岸はこう考えます。
志望理由書とは、進学先や社会での適性・資質がある、それに値する人間であることをアピールする文章である
これを念頭に置いて書き進めることが最も重要です。いわば「扇の要」。扇の中央に要がなければ、どんなに美しい扇も、一本一本の中骨がバラバラになってしまって体をなしません。志望理由書の全ての項目がこの「要」に立ちかえるように書く。こうアドバイスすると、一貫性・統一性のある志望理由書が書けるようになります。
志望理由書は人生を三つに切り分けて書く
志望理由書を読む志望校の先生や企業の採用担当は何を考えるかを想像してみてください。それは「この人は何を重んじて歩んできたのだろうか」ということ。受験生の「人生」を、アドミッション・ポリシーや自社の採用基準と照らし合わせて採用の可否を考えるのです。
しかし「人生」とはまたずいぶんスケールが大きいですね。漠然として捉えにくい。高校生が人生を語るのも上滑りしそうで不安です。だから、もうちょっとかみ砕いて棚卸しやすくする。
生徒にはまず「過去」「現在」「未来」の三つの観点から考えるよう促します。
志望理由書の書き方(前編)
志望理由書の「扇の要」と「過去・現在・未来」というフレームワークで志望理由書を書く準備を進めます。
1.志望理由
志望理由書の冒頭では、志望理由を簡潔に表明します。普通は自分の「未来」について述べることになるはずです。ボリュームが出すぎないように、目安として1〜2文で収めたいところです。しかし言葉選びにはこだわってください。冒頭部はいわばアイキャッチ。うまいこと言おうと思う必要はありません(というか絶対やめてください。試験官が苦笑していると思った方がいいです)が、自分のビジョンを的確に表す言葉を吟味することが大切です。
2.目指すきっかけや、自分にとっての魅力
次は「過去」です。どうしてその仕事・研究をしたいと思ったのか、なぜその分野に魅力を感じているのかを詳しく書きます。ここを豊かに書けると自分らしさ、人となりを伝える文章になります。しかし「過去」もボリュームが出過ぎないように注意。エピソードがすらすらと書けてしまうため字数がかかりがちです。全体の10%~20%に収める意識で臨みます。
3.将来のビジョン
「過去」を書いたからお次は「現在」!……といきたいところですが、今回は普通とはちょっと異なる構成をご紹介します。「過去」の後に「未来」を持ってくるという構成です。
なぜ「過去」の後に「未来」なのか? これが「扇の要」の話につながります。「要」=「進路への適性のアピール」と、「過去」=「志望のきっかけや魅力」とをつなげるのが、「未来」なのです。過去の経験が将来のビジョンを達成する原動力になっているのだ!というメッセージを送ることで、志望先への適性をアピールしやすくなります。
「未来」については大学進学志望の生徒と、専門学校進学・就職志望の生徒ではアプローチが異なります。
大学進学志望の生徒→「志望する学部・学科で学びたいこと」「進学先での学びが将来のやりたいこととどのように結びついているか」
専門・就職志望の生徒→「どのような働き方をするか」「どのような技術を身につけ社会に貢献しようと考えているか」
ここでは「私は将来を見据えています!」というアピールのため、ポジティブな未来像を描くことを意識するよう促します。例えば「企業勤めは嫌だからフリーターが良い」よりも「企業の枠にとらわれずに働きたい」。ポジティブな表現を心がけるだけなのですが、意外とできない生徒が多い。何例か提示して言い換えを練習させると生徒もイメージしやすくなると思います。これは面接でも成果を発揮できますから積極的にやっていきましょう!
前編ははここまでです。後編では「現在」についてどのようなフレームワークで整理するか、志望先をどう研究するかについてお話しします……が、その前に、看護医療系志望の生徒の福音となるニュースが入ってきましたので、次号ではそちらをご紹介します。お楽しみに!
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